文房具の丸シールで風景などを表現する大村雪乃氏の伊勢丹新宿店アートギャラリー初個展です。
一見すると美しい風景画に見えるその作品は、
近づいてみると黒いキャンバスに色とりどりの丸シールが貼られており、鮮やかな作品が実は身近な素材である丸シールで制作されているというギャップに驚かされます。
本展では人気の夜景作品や、夕景、人物、花などをモチーフにした作品約30点を展示販売いたします。
観る者の視覚を刺激する「丸シールアート」の面白さを、ぜひ会場で体感ください。
かねてより自然風景が好きで年に数回は地方を訪れます。
山の複雑な形状や渓流の心地よさは都会では感じ得ない壮大さと未知の美しさに溢れています。
ですが私は今も東京で生活し、都会の夜景を描き続けています。
日本の風景は豊かな田園や畑仕事をする人から忙しなくビルからビルへ移動する人に変化しました。
近代の日本風景の象徴が田園風景、人々の暮らしぶりなのだとしたら、現代の象徴の一つは夜景にあると思います。
私は現代に生きる作家として、この人々の暮らしを実直に描いていきたいです。
それは時に俗物的で目を背けたくなる風景になるかもしれません。
ですがそのような現実でも目を逸らすことなく向き合い、この時代にとって必要な視点を描くことが私の役割と思うからです。
制作にあたっては巨匠、川合玉堂さんの作品から多くを学びました。
彼が描いた日本のありし日の風景はもうこの世には存在しません。
ですが、彼が描こうとした人々の日常やその先の空気は今も現代で息づいています。
そのような視点を私の作品の中でも継承していけたらという思いで日々制作を続けています。
大村 雪乃